「好きなことを仕事にしろ」「情熱を持てる仕事を見つけろ」そんな言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。確かに理想的な考え方です。でも、現実はそう簡単ではありません。本当に面白いと思える仕事を見つけられる人なんて、実はほんの一握りなのではないでしょうか。
私自身、これまでいくつもの仕事を経験してきました。学生時代のアルバイトから始まり、新卒で入社した会社、そして転職を重ねた現在の職場まで。正直に言えば、最初から「これだ!」と思えるような仕事に巡り会えたわけではありません。むしろ、働きながら少しずつその仕事の面白さを発見していったというのが実感です。
今回は、この「仕事の面白さ」について考えてみたいと思います。そして、なぜ最初から面白い仕事を見つけるのは難しいのか、そしてどうすれば仕事に面白さを見出せるのか、私なりの考えを述べてみようと思います。
仕事選びに悩む若者たち
最近の若者を見ていると、仕事選びに悩む姿をよく目にします。SNSには「やりたいことが見つからない」「本当にやりたい仕事がわからない」といった投稿が溢れています。就職活動の時期になると、この悩みはさらに深刻になるようです。
私の弟も、つい最近まで就活真っ最中でした。彼の話を聞いていると、「自分に合った仕事」「やりがいのある仕事」を見つけることにかなりのプレッシャーを感じているようでした。「これしかない!」という仕事が見つからず、焦りを感じている様子が痛いほど伝わってきました。
確かに、人生の大半を占める仕事選びは重要です。でも、最初から完璧な仕事を見つけなければいけないという考え方自体が、若者たちを追い詰めているように思えます。
「天職」という幻想
「天職」という言葉があります。生まれながらにして与えられた、その人にぴったりの職業のことです。でも、これって本当に存在するのでしょうか?
私の周りを見渡しても、学生時代から「これが自分の天職だ!」と確信を持って進路を決めた人はほとんどいません。むしろ、様々な経験を重ねる中で、自分に合った仕事を見つけていった人がほとんどです。
有名な起業家や芸術家の伝記を読むと、幼い頃から才能を発揮し、一直線に成功への道を歩んだように書かれていることが多いです。でも、これは後付けの物語であることが多いのではないでしょうか。実際には、彼らも試行錯誤を重ね、失敗を繰り返しながら、少しずつ自分の道を見つけていったはずです。
「天職」を探し求めることは、まるで宝探しのようなものです。でも、その宝箱はどこかに隠されているわけではありません。むしろ、自分の手で少しずつ作り上げていくものなのかもしれません。
仕事の面白さは後からやってくる
私が今の仕事に就いたのは、5年前のことです。最初は正直、あまり興味が持てませんでした。ただ、その時の状況では、この仕事しか選択肢がなかったというのが本音です。
でも、やってみると意外と面白かったのです。最初は単純作業の繰り返しだと思っていたことが、実は奥が深いことに気づきました。同僚との関係も良好で、チームで一つの目標に向かって頑張る楽しさを感じるようになりました。
今では、この仕事が本当に好きになりました。毎日新しい発見があり、自分の成長を実感できます。でも、これは最初から予想していたことではありません。むしろ、やりながら少しずつ面白さを見出していったという感じです。
この経験から、仕事の面白さというのは後からやってくるものだと気づきました。最初から完璧に面白い仕事なんてそうそうあるものではありません。むしろ、自分でその仕事の中に面白さを見つけていく努力が必要なのです。
好奇心が仕事を面白くする
では、どうすれば仕事に面白さを見出せるのでしょうか。私が思うに、その鍵は「好奇心」にあるのではないでしょうか。
どんな仕事にも、表面的には退屈に見える部分があります。でも、その奥にある本質や、なぜそういうやり方をするのかという理由を知ろうとすると、意外な発見があるものです。
例えば、私の仕事の一つにデータ入力という作業があります。一見すると単純作業に思えるかもしれません。でも、なぜこのデータが必要なのか、このデータからどんな分析ができるのか、といったことを考え始めると、とても奥深い世界が広がっています。
また、自分の仕事が全体の中でどんな役割を果たしているのかを知ろうとすると、さらに面白さが増します。自分の作業が、どのようにして会社の目標達成につながっているのか。それを意識すると、何気ない日常業務にも大きな意味を見出せるようになります。
この好奇心は、仕事だけでなく人間関係にも適用できます。同僚や上司、取引先の人たちの背景や考え方を知ろうとすると、新しい視点が得られます。そして、そこからまた新たな学びや発見が生まれるのです。
失敗を恐れずチャレンジする
仕事の面白さを見つけるためには、失敗を恐れずにチャレンジする姿勢も大切です。新しいことに挑戦すると、必ず困難や失敗に直面します。でも、そこを乗り越えたときの達成感は何物にも代えがたいものです。
私も、今の仕事で何度も失敗を経験してきました。大切な商談に失敗したり、重要な締め切りを守れなかったりと、落ち込むこともありました。でも、そのたびに学びがあり、少しずつ成長できた気がします。
失敗は決して楽しいものではありません。でも、その経験が自分を強くし、仕事の理解を深めてくれます。そして、困難を乗り越えた先にある成功は、何よりも大きな喜びをもたらしてくれます。
この挑戦と成長のサイクルこそが、仕事を面白くする大きな要因の一つだと思います。
仕事以外の人生も大切に
ここまで仕事の面白さについて書いてきましたが、実は仕事以外の生活も大切だということを忘れてはいけません。
趣味や家族との時間、友人との交流など、仕事以外の時間をしっかりと持つことで、むしろ仕事がより面白くなることがあります。なぜなら、それらの経験が新しい視点や発想をもたらし、仕事にも良い影響を与えるからです。
私の場合、週末に山登りをすることが多いです。自然の中でリフレッシュすることで、月曜日には新たな気持ちで仕事に向かうことができます。また、山での経験が、仕事での問題解決のヒントになることもあります。
仕事だけに没頭するのではなく、バランスの取れた生活を送ることで、仕事自体もより楽しくなります。これは意外と大切なポイントだと思います。
まとめ 仕事の面白さは自分で見つけるもの
ここまで、仕事の面白さについて書いてきました。最初から完璧に面白い仕事を見つけることは難しいです。むしろ、どんな仕事でも、そこに面白さを見出していく努力が大切だということが分かったと思います。
好奇心を持ち、失敗を恐れずチャレンジし、仕事以外の生活も大切にする。そうすることで、どんな仕事でも面白さを見つけられる可能性が高まります。
若い人たちには、「完璧な仕事」を探すことにあまり固執せずに、まずは飛び込んでみることをお勧めします。そして、その中で少しずつ面白さを見つけていってほしいと思います。
仕事の面白さは、誰かに与えられるものではありません。自分で見つけ、育てていくものなのです。その過程こそが、実は一番面白いのかもしれません。
最後に、この記事を読んでくれた人に伝えたいことがあります。あなたの仕事に、今すぐ面白さを感じられなくても大丈夫です。焦る必要はありません。日々の小さな発見や成長を大切にしながら、少しずつ自分なりの面白さを見つけていってください。そうすれば、きっといつか「この仕事、本当に面白いな」と思える日が来るはずです。
仕事の面白さは、決して遠くにあるものではありません。むしろ、今のあなたのすぐそばにあるかもしれません。それを見つける目を持つこと。そして、見つけた面白さを大切に育てていくこと。それが、充実した職業人生を送るための秘訣なのではないでしょうか。